エースラゲージ株式会社の歩み

エース バッグ

創業者・新川柳作は大阪にある老舗カバン卸商で働き、倉庫管理、商品陳列、仕入れなどを通じてお客様との繋がりを感じながら、実直にカバンと向き合ってきました。その経験を生かし、1940年、カバン製造卸業「新川商店」を開業します。

しかし、当時の日本は戦争への道を急速に進みつつあった時代。戦禍の中、自身の徴用によって自主廃業を余儀なくされ、空襲により大阪の街が焼け野原となり新川商店も運命を共にしました。

終戦後の1950年、新たに「株式会社新川柳商店」を設立します。皮革製品の統制や自由な製造・販売も制限され、資金面的にも厳しい状況の中で新たな歴史を歩み始めました。

 

エース バッグ スーツケース

1953年、東レから発売されたばかりの当時高級素材だったナイロンを使用した「東レナイロンバッグ」を開発。カバンの歴史を変える一大革命と評価され、時代を象徴するプロダクトとなりました。

テレビがカラー放送を開始した1960年には、アメリカへ赴き交渉を重ね、シュワイダーブラザーズ社(現サムソナイト社)の日本総代理店契約を締結し、スーツケースなどの生産を開始。

また、東レと東洋クロスが共同開発した新しい合成皮革を使用した「東レデラクールエースバッグ」を発売するなど、新しいことにチャレンジし続けてきました。

そして、生産部門としてエースカバン株式会社(現エースラゲージ株式会社)が神奈川県足柄上郡開成町に創業。ここから、エースラゲージの歩みがはじまります。 

 

スーツケース suitcase luggage bag

東京オリンピックが開幕した1964年、シュワイダーブラザーズ社(現サムソナイト社)との技術提携契約が成立。契約には政府の許可が必要なため諸官庁と折衝を重ねてようやく実現し、スーツケースの歴史の中で重要な足跡となりました。

生産は、映画『007』の中で使用され一躍人々の注目を浴びたクラシックアタッシェケースから始まりました。海外旅行自由化によって観光目的の海外旅行も可能になりましたが、日本ではまだまだ海外旅行は少なく国内旅行が盛んで、輸入高級品だったスーツケースには手が出にくかったことから、お求めやすく品質の優れたスーツケースを開発するために尽力しました。

そして1967年、日本製スーツケース・デボネアが全国一斉発売。製造技術を磨き上げ、自慢のプロダクトを送り出すことに成功しました。

工場の新館建設や設備投資を行い、一貫生産ができる国内最大級の工場へと飛躍していきます。

 エースラゲージ スーツケース suitcase luggage carry

海外旅行自由化から程なくして、航空機の発達も相まって海外渡航者数が激増しました。スーツケースをお求めになるお客様も比例して増加。生産本数増産のため、産炭地振興で熱心に誘致を受けた北海道赤平市に土地を取得して、新工場の建設を開始しました。

北海道赤平市は雪深い寒冷地で、豊かな自然に囲まれています。赤平市はサムソナイト社があったデンバー市と緯度が近しく、創業者が海を渡り視察した際に記憶に刻まれた、雨で清められた緑輝く美しい自然、合理的で効率的なラインを持つ工場への感動など、さまざまな縁と、石炭産業の衰退によって雲がかかってしまった町を明るくし、町に住む人々の生活に微力ながらお役に立てればという想いで、この地に決めました。

1971年、北海道赤平市茂尻、かつて炭鉱があった場所で、北海道赤平工場の操業が開始されます。

製造設備を小田原工場から赤平工場へ全て移管。北海道赤平工場に生産設備が整い、1976年にエースバッグ株式会社からエースラゲージ株式会社へ社名変更。長年創業者の夢だった、美しい緑に囲まれた美しく清らかで清潔な工場は、現在でも維持し続けています。

1988年、新社屋と第2工場を増築、新たに大型射出成型機などを導入し、月産4万個、年産50万個の生産体制を目指して作業の高効率化と生産力アップを図りました。その後、管理棟、生産棟、倉庫棟に集約し、現在は3棟で運営しています。

 

スーツケース 手作業 ものづくり エースラゲージ

1996年、国産スーツケース累計1000万本を達成。2004年には40年にわたるサムソナイト社との契約を解消し、2005年よりエース株式会社の保有ブランド「プロテカ」の製造を開始。その他にも、保有する設備と磨き続けてきた技術で、スーツケース以外にも多様なプロダクトを受託製造しています。

 

繊細で高度な技術を磨き続け、さらに品質を向上するために様々な検証を繰り返し行っています。試験設備を導入した1978年から継続している試験内容にエースラゲージ独自の試験基準を追加し、2006年には品質・強度検証部署を「A.T.I(品質管理研究所)-ACE Technology Institute-」と新たに命名。2022年現在も、引き続き高品質のプロダクトを生み出し続けています。

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